エッセイ

持ち運び図書

books

 

棚で探しものをしていると、別のものに目が留まった。1、2年前に買った1冊の本だ。

 「まだ一度も読んでいない!」

 買った当時も、既に電子書籍が中心だった私は、紙の本を買ったものの、そこに置いてしまったが故に、後ろへ押されそのまま放置されていたのだ。

すっかり存在を忘れていた。

「この本に、申し訳ないことをしたなぁ。すぐに読んであげなくて、ごめんね。」

 きっと、電子書籍化されていれば、いつもの場所に保存され、すぐに読んでいたのだろう。 とはいえ、本来の私も紙媒体の書籍はいいなー、とは思っている。

 紙書籍の多様性ある質感、肌触りなど、本それぞれに合わせた良さがある。
その価値は、私も好きだ。

 だが、我が家は狭い。引っ越してからは、本棚を置いている場合ではなくなった。

だから、多くの人がそうであるように、いつの間にか私も、すっかり電子書籍にシフトしていたのだ。

 こうなると、本当に電子書籍の良さも十分に分かってくる。

メリットは、置き場の問題解決や持ち運びに便利だということに留まらない。

 凄い、これはいい!と思ったことの一つに、「国立国会図書館」の蔵書を、足を運ばずとも気軽に読めるようになったことがある。

 復刻本といえども、珍しいい書物の原文をいつでも眺められるのは嬉しい。なかなか、その辺の本屋では、お目にかかれない書籍ばかりだ。それらが、Amazonでも普通にダウンロード可能なのである。 つまり、それらの書籍が自分のタブレット内のライブラリに入っている、ということだ。 それが、気持ちいいのだ。

 最初に『三国史記』を発見した時には、心が踊った。

 「あ、『新農本草経』があった!」
 「お、『魏志倭人伝』だ」

 と、色々面白そうなのが見つかって楽しい。


 このように話してはきたものの、実は私はそこまで読書家というほどではない。

単に興味のある分野を見るばかりである。 そこは、ご愛嬌ということで…

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